「AIでやりたい」と言われたときに疑うべきこと
- 3月24日
- 読了時間: 4分
はじめに
こんにちは、宮川です。 先日、プログラマの友人から「AIがらみで少し困っている案件がある」と相談を受けた。
「倉庫の部品を写真で撮って、AIで種類を判別して在庫管理したいという話なんだ」
話を聞いていくと、現場と管理側で考えが分かれているらしい。
現場は「今の仕事の流れを壊したくない」と考えている。
一方で管理部は「タグを付けてきちんと管理したい」と言う。
部品は特殊な形状をしており、熟練した職人(熟練工)でなければ判別が難しい。
そのため「AIで判別できるようにしたい」という発想に至ったようだ。
一見すると、もっともらしい。
そして、いかにも“AIらしい”課題でもある。
ただ、この話を聞いたとき、私はすぐに違和感を覚えた。
AIを使うこと自体が問題なのではない。
しかしこのケースでは、「解決したい課題」と「選ぼうとしている手段」が噛み合っていないように見えた。
こうしたズレは、後になってコストや運用の問題として必ず表に出てくる。
なぜそう言えるのか。
少し分解して説明してみたい。
AIは本当に必要か?
この話を聞いて、私が最初に考えたのは「AIでやるべき問題なのか?」という点だった。
やりたいこと自体はシンプルだ。
在庫を正確に把握したい
属人化(熟練工依存)を解消したい
ここまで分解すると、これは「画像認識の問題」というよりも、
「在庫管理の仕組み」の問題に見えてくる。
そのうえで、もう一つすぐに思い浮かんだことがある。
RFID(ICタグ)だ。
各部品にタグを付け、電波で一括読み取りを行う。
バーコードのように一つずつ読み取る必要はなく、複数の物品をまとめて認識できる。
在庫数だけでなく、「どこにあるか」というロケーションまで把握できるのも特徴だ。
倉庫・店頭・作業場といった場所ごとに、どれだけ存在しているかを把握できる。
言い換えると、「探す」のではなく「最初から分かっている」状態を作れる。
この仕組みは、すでに身近なところでも使われている。
例えば、ユニクロのセルフレジだ。
カゴを置くだけで一瞬で会計が完了するあの仕組みは、
RFIDによって商品を一括で読み取っている。
👉 ユニクロのRFID導入事例はこちら
つまり、
何があるか
どこにあるか
を「識別する」のではなく、**「仕組みで管理する」**という考え方だ。
正しく運用すれば、精度は非常に高い。
少なくとも、「見分ける」ことに依存する仕組みよりも安定する。
そして何より、構造がシンプルだ。
AIでやる場合の現実
一方で、AIでこの問題を解決しようとすると、話は変わる。
部品の種類を判別するためには、
熟練工が行っている判断を、そのまま学習データとして用意しなければならない。
おそらく数千枚単位の画像が必要になるだろうし、
そのためには現場の熟練工に協力してもらい、データを作るところから始める必要がある。
さらに、学習させて終わりではない。
新しい部品が増えれば再学習が必要になる
環境(光・角度)によって精度がブレる
誤判定への対応も考えなければならない
つまり、
👉 「作って終わり」ではなく、「運用し続ける仕組み」になる
ここまでを踏まえると、
本当に解決したい課題は何か
そのためにどの技術を選ぶべきか
を冷静に見極める必要がある。
結論:AIは魔法ではない
今回のケースで言えば、
AIで画像認識する → 技術的には可能
RFIDで管理する → 現実的には合理的
という構図になる。
重要なのは、
👉 「できるかどうか」ではなく「適切かどうか」
AIは強力な技術だが、万能ではない。
向いている問題もあれば
向いていない問題もある
それにもかかわらず、
「AIでなんとかしたい」
「とりあえず画像認識」
といった発想になってしまうことは少なくない。
だが本来、技術選定の順番はこうあるべきだ。
課題を定義する
制約(コスト・運用)を整理する
最適な手段を選ぶ
AIは、この中の「手段」に過ぎない。
おわりに
AIは確かに魅力的な技術だ。
しかし、すべてをAIで解決する必要はない。
むしろ、
👉 AIを使わない判断こそが価値になる場面もある
私たちは、
AIありきではなく
技術ありきでもなく
👉 課題から設計する
それが、「使えるシステム」を作るための第一歩だと考えている。
もし同じように、
「AIを使いたいが、それが本当に成果につながるのか判断できない」
「現場と管理、あるいは営業と経営で方針が噛み合わない」
といった状況にある場合、
一度立ち止まって“何を解決すべきなのか”から整理することが重要です。
私たちは、個別のツールや技術ではなく、
営業や組織の仕組みそのものを見直し、成果につながる形に再設計する支援を行っています。
ご関心のある方は、お問い合わせページよりご連絡ください。


