20年使ったドメインをAWSに移した話― 小さなサイトにサーバは必要か
- 3月12日
- 読了時間: 5分
初めまして。ダブルホイールの宮川です。
私は個人的に、20年近く使い続けているドメインを持っています。
そのドメインでは長い間、レンタルサーバ上でWordPressブログを運用してきました。
もともとは映画レビューを中心とした個人ブログとして使っており、長年記事を書き続けてきました。
しかし最近は、ITスキルやプログラム研究をテーマにした別の個人サイトをクラウド上で運用しています。
こちらは趣味でRailsを使って開発した技術ブログです。
そのため今回、旧ブログのサーバは閉鎖することにしました。
ただし、ドメイン自体は残す必要があります。
ドメインは手放せない
理由は単純です。このドメインはすでに
AWSアカウント
サーバ通知メール
個人メール
など、多くのサービスに登録されています。
つまり
ドメインは残す必要がある。
そしてメールも使い続ける必要がある。
という状況でした。
いきなりリダイレクトは違和感がある
最初に考えたのはシンプルな方法です。
旧サイト
↓
新しい技術ブログつまり、アクセスされたらそのまま新しいサイトへリダイレクトする方法です。
しかし、ここで少し悩みました。
2つのサイトはコンテンツの文脈がかなり違います。
ドメイン | 内容 |
|---|---|
旧ブログ | 映画ブログ |
技術ブログ | IT・AI・技術情報 |
映画ブログを見に来た人が、突然テックサイトに飛ばされると違和感があります。
そこで
旧サイト
↓
案内ページ(1枚)
↓
新しいサイトという ワンクッションのページを用意することにしました。
1枚ページのためにサーバを持つべきか
次に考える必要があったのは、その1枚ページをどこに置くかです。
普通に考えれば
レンタルサーバ
AWS EC2
AWS Lightsail
といった選択肢があります。
しかし今回必要なのは
たった1枚のHTMLページです。
それなのに
サーバ構築
OS管理
セキュリティ更新
を続けるのは少し大げさに感じました。
特にEC2やLightsailの場合は
毎月 数千円もの固定コストも発生します。
1枚ページのためにサーバを維持するのは、どうにも非効率です。
そこで今回は
サーバを持たない構成
を選ぶことにしました。
今回のAWS構成
今回採用した構成は次の通りです。
Internet
│
▼
Route53(DNS)
│
▼
CloudFront(CDN + HTTPS)
│
▼
S3(静的サイト)役割は次のように分かれています。
サービス | 役割 |
Route53 | ドメイン管理 |
CloudFront | Web配信 |
S3 | コンテンツ保存 |
つまり
Webサーバ自体が存在しない構成です。
HTTPSも自動で管理できる
もう一つ重要だったのが HTTPS です。
現在のWebサイトでは、HTTPSはほぼ必須です。従来のレンタルサーバでは
SSL証明書を取得
Webサーバに設定
証明書更新
といった作業が必要になります。
AWSでは
AWS Certificate Manager
を使うことで、この作業がほぼ不要になります。
構成は次の通りです。
Certificate Manager
│
▼
CloudFront
│
▼
HTTPS配信証明書は無料で発行でき、更新も自動です。
証明書の期限管理を意識する必要もありません。
メール環境もAWSへ移行
今今回の移行では、Webサイトだけでなくメール環境も整理しました。
これまで使っていたメールアドレスは、
多くのサービスに登録されています。
そのためメールアドレス自体は変更できません。
そこでAWSの
WorkMail
SES(Simple Email Service)
を使い、メール環境も移行しました。
構成は次のようになります。
Internet Mail
│
MX(Route53)
│
Amazon WorkMail
│
Amazon SES
(SPF / DKIM / DMARC)これにより、これまでのメールアドレスをそのまま使い続けることができます。
AWS S3のメリット
今回の構成の中心は S3 です。
S3にはいくつか大きなメリットがあります。
サーバ管理が不要
OSもWebサーバもありません。
HTMLを置く
↓
公開それだけです。
セキュリティが高い
AWS EC2のように
SSH
OSアップデート
ミドルウェア
を管理する必要がありません。
攻撃対象となるサーバ自体が存在しないからです。
コストが非常に安い
今回の構成のコストは概算です。
サービス | 月額コスト |
Route53 | 約 $0.50 |
S3 | 数円 |
CloudFront | 数円 |
Certificate Manager | $0 |
SES | ほぼ $0 |
WorkMail | $4 / user |
Web サイトのインフラ部分は、
ほぼ $1 未満
で運用できます。
一番コストが高いのはメール
実際に構築してみて気づいたのは、インフラよりメールの方がコストが高いということでした。Amazon WorkMail は $4 / user / month で課金されます。
当初は複数ユーザー構成で検証していましたが、運用要件を整理した結果、1ユーザー+メールエイリアス構成で十分と判断しました。これにより月額を $4 まで抑えられます。
例えるなら物流の仕組み
この構成は、物流に例えると分かりやすいと思います。
従来のレンタルサーバは
工場
倉庫
配送をすべて1つの場所で行う仕組みです。
一方、今回の構成は
倉庫(S3)
↓
配送センター(CloudFront)
↓
住所管理(Route53)という役割分担になっています。
そのため私たちは
中に置くコンテンツだけを考えればよい
という状態になります。
小さなDXの例として
今回の作業は、大きなシステム導入ではありません。
やったことは
古いレンタルサーバ整理
↓
クラウドへ移行
↓
運用を軽くするそれだけです。
しかしその結果
サーバ管理なし
セキュリティ管理なし
コスト最小
という環境になりました。
DXというと
AI
データ分析
大規模システム
を想像しがちですが
小さな運用改善の積み重ねもDXの一つです。
20年続いたドメインのこれから
今回ブログ自体は閉鎖しましたが、
ドメインは残ります。
そしてその裏側では
Route53
CloudFront
S3
Certificate Manager
というクラウドの仕組みが動いています。
20年前には想像できなかったような、軽いインフラの上に置かれているわけです。
ITの世界は速く変わります。
しかしドメインのような「名前」は長く残ります。
その名前を、今の時代に合った形で使い続ける。
今回の作業は、そんな小さな整理でもありました。


